雑感/アルパインクラブ 〜新地のクラブのお姉たまではありませぬ〜
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2016.10.29 エッセイ
どうも、acsekitoriです。
私のIDはacsekitoriです。ご存知の方もいらっしゃいますよね。上の方に書いてありますし。では、その意味は一体なんぞや?とお思いの方も多いのではないでしょうか。はじめましての第1話で、(悪石取り)と書いたのですが、それは末期のがん治療を鋭意遂行中の現状に擬えて無理矢理後付けしたものです。
では、これ以上の謎かけやもったいぶりっ子はせずに、単刀直入に答えを申し上げましょう。
まずこれは2つの単語を合成してあり、acとsekitoriに分かれます。
acはALPINE CLUB、そう山岳部の略称です。
後半部分のsekitoriは相撲取りをイメージされるでしょうが、私は筋肉はありでっぷりしていますが、そんなに大きくありません(画像右端)。
私は関との単語が大好きで、これに職業である写真家を擬えて、関撮りとしました。
つまり、IDの意味合いは山岳部関撮り、ですね。決して悪関捕りではありませんよ。
逢坂の関、箱根の関。関所を越えて旅を続けるのは相当煩雑な苦労が伴った事でしょう。そんないにしえの旅人に敬意を表して、ハンドルネームにしたのがおよそ20年前。
当時、導入したばかりのApple Macintosh Performa7300で始めた、ニフティサーブのパソコン通信の中にある山フォーラム。それに参加した時に自ら命名した思い出の名前が関撮りなんです。
いつまでもいつまでも
53にもなってクラブ活動の話かよ、と思われる方もいるかもしれません。確かにそうでしょう。しかし、私にとって山岳部の現役7年間と監督の10年間は、かけがえのない青春の記念碑なんです。
球技や武道などなど、他の体育部では横のつながりは強くとも、あまり先輩や後輩といつまでも接する事はないかもしれません。
しかし私が在籍した高校・大学双方の山岳部では、卒業後も顧問先生も交えて頻繁にOBOG会を開催し、共に山へも訪れています。時には同窓会的飲み会のみを求めて参加されるOBと、私のように未だ激情を持って山への未練たっぷりの者と意見が衝突する事もあります。
しかしそれもかつてザイルを結び合った仲間だからできる議論であり、単なる飲み会とは一線を画しています。
山岳部。この文言を見聞きするだけで私の鼓動は高鳴り、ガラスのハートが張り裂けそうなほどの切なさを覚えます。
ところが悲しい事に、わが大学山岳部はもうありません。監督時代に新人勧誘を続けて部員を確保し、彼らを連れてモンブラン登頂こそしましたが、それをピークに以後は部員数が年々減少してついにゼロに。そして大学当局から廃部勧告を受けて、とうとうなくなってしまいました。
今は個人山行が主体で、社会人山岳会や大学山岳部の隆盛など過去の遺物なのでしょう。技術や装備の情報は、webからいくらでも入手できるのかもしれません。
しかし、先輩から脈々と受け継がれてきた登山技術及び生活の知恵や、生きた情報を得る事ができるクラブ活動はかなりのメリットが有ると今でも思っています。
テレビでプロ野球のナイター中継を観て真似をして、直ぐに甲子園に出場できるでしょうか。それは極論としても、登山の甲子園である日本アルプス登山の現場では、それに似通った事が起きているのですよ。
以前NHKで登山の現状を論じる番組をしており、なんとなく見ていました。そこで危惧されていたのが、SNSで知り合った人同士がお互いの山行報告にコメントをしあい、意気投合して数名のパーティをネット上で組織してオフ会と称する山行をするのが流行っている事象でした。
それの何が問題なのか?それは、顔も知らない者同士が本名も名乗らずに現地集合し、リーダーも決めずに登り始める点です。
当然、経験値も技術体力もまちまち。歩行スピードに差があるので、しばらくすると前後差が出てきます。これが山岳部などのパーティ登山であれば、経験者がリーダーになり不慣れな者への配慮をした上で山行計画を組みますので、ある程度まとまりができますし、当然リーダーの指示の下各メンバーが役割を持って全体のバランスを整えます。
それが先述のSNSパーティでは、ワガママが出るらしい。せっかく来たのになんで待たなくてはいけないのか。帰らなくてはならないのか。
また、計画途中であってももっと高いところへ登りたい。もっと遠くへ歩きたいとの欲望も出るでしょう。
ここからは私の推論ですが、そのような憂慮されるべき点も、経験豊富なメンバーには良いでしょう。バラけたところで個人山行と同じですから。問題は、ネットやテレビを見て自分でもできると思い込んで参加してしまった哀れな未経験者です。
中にはコミュニティに参加したいあまり、経験豊富と虚偽の申告をして参加してしまった人もいると聞きました。ネット上でしか知らないのですから、どうとでも言えます。虚栄心が強い人ほど、皆に遅れるのを恥と思って無理をするかもしれません。
ところが蓋を開けてみれば、経験者はサッサと行ってしまい、取り残された自分の周りには濃いガスが立ち込める。雨も降ってきた。足元の矢印ペンキも見えづらいほど薄暗くなってしまった。どうしよう…。
こうなると、もう精神的に無理です。岩陰に座り込んで夜を迎え、良くて低体温症で長期入院、最悪の結末は疲労凍死です。
妻は山の事に無知ですので夏の山で凍死するなど半信半疑でしたが、8月の上高地に連れて行った際の夜間に雨が降り、気温が10℃を下回って震え上がり体感しておりました。
一部放送されていた実際の現象を交えながら、私が悪い方へ組み立てましたが、このようにネットのお付き合いには怖い問題がある事を伝えたかったのです。
何も山に限らず、出会い系や宗教勧誘など、もっと怖い事が「山ほど」あるのがインターネットでしょうがね。
2016.10.29