錯乱坊(チェリー)/雑感 〜オロオロと、泣き叫ぶなら離れてくれ〜
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2019.11.28 エッセイ
どうも、シバク・ドワレです。
今日は、懐かしのアニメ登場人物を表題にしました。うる星やつらに出てくるお坊さん、錯乱坊です。いつもコタツ猫と一緒に茶をすすっており、諸星あたるに説教を喰らわそうとするも、反撃を受ける愛すべきキャラ。
さて、そんなマンガの坊主はどうでも良いのですが、名前だけお借りしました。
実は、私が嫌いな文言に、
「錯乱」
「動揺」
「取り乱し」
が、あります。
ドラマなどで事故や大病の告知を受けた時に、お母さんがよくなる状態の三大症状。ドラマや映画は見世物ですから大袈裟な描写ですが、もし本当にそんな状態になる人がいるとしたら、事後の結果は惨憺たるものになるでしょう。
私はこのブログで事あるごとに、有事の際の冷静さ、不動心を自分に言い聞かせるように唱えています。まるで宗教のお題目のように。
そう、そうなりたいがために言い聞かせて、日々刷り込んでいるのです。メンタルトレーニング、精神鍛錬です。
なぜ不動心が必要か。
そんな事言わずもがなですよね。いや、ひょっとしたらこれを読んでくれている人の中に小学生がいたとしたらわからないかもしれないので、応急処置の手順を書いて説明しましょう。
あくまでもブログですので、予備知識だと思って下さい。止血などは慣れない人がやると組織の壊死を起こしたりしますので、後で責められる可能性もありますが、私は救急車など来ない北アルプスでは経験しました。やらないとその人が失血死するからです。
しかしプロが駆けつけてくれる場所では、そのような医療行為まではせずに、以下の救命措置だけ行って下さい。
表題に、救命活動の実際などと書いてマニュアル化しても良かったのですが、それをするには図示などが必要ですし、責任を伴いますからあくまでも読み物としてエッセイに留めます。
もしあなたが事故に遭ったとき、動揺して取り乱したら、周りが見えなくて、更に大きな怪我を負うかもしれません。例えば、となりの車線に飛び出してしまって、対向車にぶつかるなどです。
「なんでこんなことになったの?何で自分だけがこんな目に!」
と動揺して錯乱しても、事態が良くなる事はまったくありません。混乱を増幅させるだけです。
例え骨折してめちゃくちゃ痛くても、顔を上げて周囲を見渡し、自分より酷い状態の人は居ないかを確認しないといけません。意識のない人が倒れていれば、自分が動けるならばそちらの人の救護に当たらないと、助かる命も助からないかもしれません。
まずは自分が出血しているなら清潔なハンカチなどで患部を押さえて止血し、誰かに大声で、でも落ち着いて、
「黒い服のあなた、携帯電話で119を押して救急車を呼んでください。住所がわからなければ、目立つ建物を伝えて下さい」
「白い服のあなたは、AEDがあれば持ってきてください。私は怪我をして動きにくいので、皆さんで手分けをしてお願いします」
と、指示をしましょう。
その時に、遠慮してはだめです。はっきりと判りやすい声で、どの人に何を伝えたいかを明確にして下さいね。群衆は、五人も集まればいったい誰が何の指示をされているのか、わからなくなるものです。
119番と、具体的に教えてあげるのもポイントです。混乱した人は、救急車を呼ぶのに110を押すことがよくあるそうです。
意識のない要救助者の、脈も呼吸も取れなければ蘇生の必要がありますが、講習を受けたあなたが負傷して動きにくければ、かなり事態は逼迫しています。
しかし、そこからが本番です。
先ほど述べた、錯乱・動揺・取り乱しの三悪を排除しましょう。
自分が動けないのなら以下の事項を指示し、動けるなら自分でやりましょう。
AEDの操作方法は、思ったよりも簡単です。ほとんどの人が初めて触る機械ですから、誰にでも使えるように図示とともに、音声にて案内してくれます。
まずは、意識のない人から顔を離して両肩に手を置き、頭を動かないように固定してから、
「大丈夫ですか?わかりますか?」
と大声で呼びかけます。
顔を離しておかないと、近くまで覗き込んで呼びかけると、意識を取り戻して起き上がろうとする要救助者に、顔面を頭突きされて流血の惨事になります。それとともに、なんらかの事故で意識を喪失している状態であるならば、頭部もしくは頸部を損傷している可能性が高いので、不意に動かすと予後に良く無いのです。
呼びかけに反応せず、耳を口に当てても呼吸音が確認できなければ、首の後ろに手を差し込み、顎を上に上げて口を開かせて、気道を確保します。そしてハンカチを口に当てて深く息を吹き込みます。
次に、脈が触れず心臓が停止していると思慮されるなら、胸骨の真ん中、みぞおちの上あたりに自分の両手指を組む形で置いて、強めに10回ほど押しましょう。その時に対象者が子供なら全体重をかけてしまうと胸骨骨折を起こしますので注意してください。
呼吸が再開し、鼓動が聴こえるまでそれの繰り返しです。
それでも心臓が動かなければ、そこからがAEDの登場ですが、これ以上の使用手順を素人の私が書くのはやめておきます。このような付け焼き刃の記事を盲信する事なく、ぜひ消防署で定期的に開催される救急救命講習を受講して、いざという時に備えて下さい。予備知識の有る無しで、遭難に対峙した時に随分と落ち着き度合いが違います。
ポイントは、「誰に何の指示を与えるのか」です。
これは日頃の仕事でもサークル活動でも同じですね。事故に遭遇したら、自分が会社の社長やサークルのリーダーになったつもりで、明確かつ的確な指示を出して下さい。不明瞭な指示ほど部下を不安にさせる事はありません。冷静で取り乱す事のない決断力が、あなたに求められるのです。
下へ続く
病気ならかなり違ってきます
これが事故では無く、自分が大病を患ったとしたら、そこまでの対応は求められません。
主に自分と家族の将来に対してのみ、動揺しない事が必要です。なんらかの大病告知を受けて取り乱すと、以後の治療方針を検討する大切な医師とのやり取りが上の空になってしまい、後になって
「なんでこんなに辛い治療を強要されるの!」
となりがちです。
決めたのは本人のはずなのに、錯乱して覚えていないのです。
これは私が長らくがん病棟で入退院するうちに、多くの実例を見てきた結果です。生々しいでしょ?そんなもんです。
では、告知を受けてナースに
「外のベンチで待っていて下さい」
と告げられたらどうするべきか。
まずは、落ち着いて腹の減り具合を確認して下さいね。私は5年前に腹部大動脈周囲リンパ節に複数の再再発が見つかって告知された時、朝飯を抜いていたので無性に腹が減り、せっかく担当ナースが暗く絶望的な顔で説明してくれているのに、あまり治療内容が耳に入りませんでした。早く大食堂の味噌ラーメンを食いたかったからです。これもある意味、告知を受けて錯乱した結果かもしれませんね。
もうちょっと笑顔でもいいんですよ、再発告知担当ナースちゃん。こっちまで暗くなる患者もいるでしょうから。患者はナースの天使の微笑みを見て勇気付けられるもんなんです、私みたいに気が弱い患者もいるんですから。
誠にもって蛇足ですが、人間界では、よく女性に対してブスとか可愛いとセクハラ文言を述べる不逞な輩が居るらしいですね。失礼な話です。
しかし、女性はブスッとするからブスなんです。笑えば、誰だって可愛い。どんな赤ちゃんでも泣き止んでニコッと笑えば癒されるのは、そのためです。
かつて女優やモデルを数多く撮影しましたが、彼女たちは自分がどう写ればいちばん可愛いかを解っており、言わなくてもその表情をしてくれます。プロですから。プロモデルを撮るカメラマンより、小中高生の卒アルを撮る学校写真屋さんのほうがある意味大変だと思いますよ、滅多に良い顔しませんから。いつも笑いましょうね、つらくとも。
同じくプロの、カメラマンの余計な一言でした。
妻からは、
「がんの告知を受けるってもっとドラマみたいになるんかと思った」
つまり、受けた人間は取り乱して半狂乱になるのかと思ったと言われました。
しかし現実はそんなもんです。
私は特別鈍いのもしれませんが、治療をしなければあと一年で死ぬと言われても、なんか現実感を伴わず、他人事のように感じてしまうのです。
おそらく人間の機制のうち、防御と逃避機制が働いて現実から精神が逃げることにより破綻を防いでいるのでしょう。
錯乱・動揺・取り乱し。
あなたはならない自信がありますか?
2019.11.28
ご閲覧ありがとうございました。よろしければ他の記事も覗いて行ってくださいね。 自作キャンピングカーと大型オートバイを中心に、夫婦での旅記録が主な内容です。