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せん妄/闘病記 〜突然の態度変わりに慌てずに〜

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厳冬期の車中泊、あまりの寒さにバラクラバ装着

2019.8.22 入院ストレス回避術

どうも、シバク・ドワレです。

今日から始まりました、本番の抗がん剤。イヤですね〜、キツいですね〜。

でも仕方ないですね〜、死なないためには。

 

さて今日はがん病院に於ける、普通の病院とは異なった点の紹介をしたいと思います。

できるだけふざけた文章は控える所存ですが、性格がチャラいのと、あまりに重たい文章も嫌なのでどうなるか判りませんが、病気・症状について淡々と客観的に記述します。

 

前にも書いたかもしれませんが、みなさんは「せん妄」という症状をご存知ですか?

病気ではなく、状態を指す医学用語です。

認知症とよく似た症状で、正常な判断力のない状態になるのですが、最大の違いは直ぐに正常に戻ることが多い点です。

認知症が脳の萎縮など組織的な病変で起こるのに対して、せん妄は長期の入院によるストレスなどの外的要因が主になります。

 

判断力のない状態と言ってもわかりにくいですよね。

具体的に述べると、例えば抗がん剤の副作用で頻繁に起こる、手足の指先が強烈に痺れた時に、それを副作用とは認識できずに

「ちょっとなにこれ!痺れてるやん!どうなってるの!いやや!!」

などと大声で絶叫する人もいるのですが、その叫び方が尋常ではないのです。

昼間ですと見舞客も多数いますが、周りの雑談などは一瞬にして静まり返り、病棟内は異様な雰囲気に包まれます。

医療従事者ではなく、患者の私が症例を詳細に公表するのはマナー違反かもしれませんね。

しかし、医師目線では無い患者の生の声を残すことも、当事者でモノ書きである私の使命だと思いますので、続けます。

 

そのようにパニック状態になり絶叫するのは、割合的には女性が多いです。年齢は、50代前半から60代前半くらいかな。

80代近くになる後期高齢者には絶叫はあまり見られず、泣く人が多いです。

対して男性は、独り言が多くなる。

最初はテレビに一問一答するなど、どこのおじいさんでも家でよく見る光景なのですが、日が経つにつれてブツブツと文句を言いだします。

おじいさんと書きましたが、60歳くらいの人から多く見受けられ、50代以下の人にはあまり見られません。もっとも、私の病院にはそんな歳の人は滅多に来ませんが。

 

せん妄の典型例は、日頃温厚なのに急にイライラして怒りっぽくなる事ですが、病室ではそれが顕著に現れます。

私の病院ではそれぞれがカーテンを閉めて個室状態にするのがデフォルトですから、患者同士のトラブルは滅多に起こりませんが、ナースに対して暴言を吐いたり、大したことでは無いのに延々と説教をくらわすなどは日常茶飯事です。

ベテランナースなら軽くあしらいますが、若きナース達の落ち込みは可哀想なくらいで、私が慰め役として機能します。

 

他の体験例としては、同室の70くらいのお爺さんが夜中の3時頃に突然外出着に着替えだし、私のカーテンを開けて中に踏み込み、ドアを探すのです。

「ちょっとちょっと、どないしたん?ここはワイのベッドやで」

と、声をかけたら、

「ああ、すまん。帰るわ」

と、目があらぬ方向に向いています。

これは無理と判断してナースコールを押し、二人でその人のベッドに連れ戻しました。

ナースが1時間ほど説得していましたが、行かなあかん、帰らなあかんの一点張り。午前四時を回った頃、ようやく寝付いていました。

下へ続く

これに慣れないと長期の入院治療はできません

このように、大部屋ではどんな事象が起こるか判らず、それだけでもストレスになります。

隣のベッドの方がカーテン越しに息を引き取ったこともありますし、医療用麻薬を処方されてベッドから落ちて頭を強打する、なんてことはしょっちゅうですので、常に周囲に気を配り重症者が出たらナースを呼ばなければなりません。

 

幸いなことに私は長らく、何十年も山岳部のリーダーや監督をしていましたし、遭難救助にも関わっていましたので割と冷静に見ることができます。

高い山の中に長期間滞在してハードな登山を続けるのも、ある意味入院と同じかそれ以上にストレスが掛かりますので、新人の情緒不安定や人事不省など、それこそせん妄状態を数多く観察してきましたので。標高も4000m程度を超えるとやや酸素も希薄になりせん妄状態も顕著になってきますので、日頃は冷静な人が常識では考えられないワガママを言ったりします。

これはある人に聞いたヒマラヤでの出来事ですが、みなで苦労してルート開拓をして登頂まであと少し、ってところで

「俺だけ山頂に登るから、お前たちはここで待ってろ!」

とか。

 

毎度偉そうに書いていますが、これはブログだけの事であり、このような内容の話を病院で他の患者にする事はありません。誠にもって嫌な言い方ですが、私は傷の舐め合いが大嫌いな一匹狼なので、がん患者同士の病状報告(自慢?)&慰め合い大会が嫌いですから近寄らないのです。

 

もう現在の形式による入院治療は丸5年を経過しましたが、おかげさまでせん妄は現れずに穏やかに過ごしております。

そもそも、私は元から何にでも腹を立てて実際に素行不良者に注意したりしますから、せん妄にはなりにくいかもしれません。根が穏健な人に出やすいとしたら、の話ですが。しかしiPhoneを紛失したり、院内でメガネを談話室に置き忘れたのにベッド周りを必死で探したり。

そろそろ認知症のほうを心配しなければならないかも。

看護師長には、忘れもんが酷いのは歳が行った証拠!と笑い飛ばされましたが、もし認知症と診断されたら免許証を返納ですから、この旅ブログも閉鎖ですね。そうならないように祈りますが、それだけは自分ではどうにもならない。

 

おかしな挙動は妻にチェックさせて、他人様に迷惑をかける事だけはしないように心掛けます。

2019.8.22 

 

ご閲覧ありがとうございました。よろしければ他の記事も覗いて行ってくださいね。 自作キャンピングカーと大型オートバイを中心に、夫婦での旅記録が主な内容です。

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