一泊車中泊・京都府南山城村 和紅茶摘み,自宅 製造体験 /車中泊 〜夏も盛りでありますが、紅茶が旬とは知らなんだ〜
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2019.8.4 車中泊 河内〜山城往復
どうも、シバク・ドワレです。
今日は入院二日目。胸の点滴ポートには、がっつりとフォルフィリ療法の抗がん剤が注入中ですが、副作用にも慣れてきました。
ようやくMacに相対することができる体調になりましたので、先週末の土日、酷暑極まるクッソ暑い中で一泊だけの車中泊へ出掛けたレポートをお届けします。
7月末には上高地での素敵な避暑を経験していますから、その涼しさを覚えている身体には我慢大会のような車中泊になりましたが、目的は2日目の和紅茶手摘み体験と工場見学にありましたので、まあ寝ることはどうでもよかったのです。
自宅からほんの1時間ちょっと。朝出ても充分間に合う距離なんですが、やっぱ好きなんですから車中泊でしょ!暑さや寒さでやめるような趣味では無いんです。
8/3(土曜)、色々用事を済ませたら出発は17時を回っていました。
しかしあまり早い時間に道の駅に着いても、暑いだけなので夕涼みにちょうど良いかと。
今宵のしとねは、明日の紅茶摘みをする茶園のすぐ近くの、京都府相楽郡南山城に位置する「道の駅お茶の京都みなみやましろ村」です。
4月にオープンしたてなので、トイレはもちろんウォシュレット、他の設備も最高です。しかし京都や奈良への観光に便利な立地ですので、旅の恥はかき捨て的な行儀悪さを垣間見たかな。トラブルは起きませんでしたが。
晩メシはセルフうどん屋で済ませてきたので、早速ゴロゴロと寝そべりながら行儀良く寝酒を嗜みます。しかし、車内には夕涼みの風情など微塵も感じられず、ディーゼルエンジンからの余熱がヒシヒシといつまでも迫り来ています。
暑い!
ちょっと悔やんでいます。
寒さはともかく、暑さでやめる趣味にすればよかったと。。。
USB冷風ファンを枕元で全開、USB扇風機を足元で全開、ACボックスファンを網戸越しに外に向けて全開。全開バリバリの我が人生ですが、熱帯夜はそんな小さな人間のあがきなど物ともせず、容赦無く熱中症へのトラップを仕掛けてきます。
凡人ならここでクルマのエアコン全開にするんでしょうが、天才的変態のわたくしはそんな事できるはずもなく(エアコンガスが無いので)、外に出てみました。
なんや!めっちゃ涼しいやんけ!これなら早く出て椅子にでも座ってれば良かった。
と思ったのもつかの間、山間部で涼しい、って事は蚊が多い。大阪の熱帯地方的熱帯夜、30℃を超えるような夜だと、蚊はどこかに潜むのです。
これはかなわん、と中に入りました。
しかし、これこそが盛夏の車中泊の自虐的快感なんですわ!どMか!
私が暑さに強いのは、汗を効率的にかけるからだと思います。脇の下ばかりかいてもしゃあないですからな。風の当たるところから汗を出さんとね。
気化熱に勝る冷房なし!
そのために、一生懸命汗をかくトレーニングを怠らないのです。
明けて8/4、ドッピーカンです。
遮るものはなにもありません。青春真っ只中。
という事は、日の出とともに車内温度も急上昇して寝てられん!っと思うでしょ?
そこは我がロケバン、元の車体はマイクロバスなんですよ。
白い業務用塗色は燦々と輝く日光をサラリと反射し、天井にギッシリと詰まった断熱材とカーテン類のお陰で、8時くらいまで爆睡できました。つまり車内温度が高い原因はひとえにエンジンの余熱であり、それはキャブオーバーであるワンボックス車の宿命でありんす。
大型トラックの運転手がアイドリングを続けてクーラーを効かしまくるのも、同じ理由なんですよ。でも大型スペースでやってな。
この車中エンジン熱を避けるには、とにかく早く停泊地に到着して、エンジンを冷やす事。これに尽きます。
今度からは早く出よう。って、何十年車中泊やってんねん!
朝メシを喰らいに、道の駅本館にお邪魔しますか?
妻は鯖寿司、私は可愛らしくサンドウィッチです。
朝からガツガツ食うと、内臓が消化にパワーを取られてロクな行動ができません。腹が減っては戦はできぬとは言いますが、ビタミンとミネラル・ブドウ糖を補給すれば充分!
午前10時15分、定刻に道の駅から10分ほどの、相楽郡南山城村の移住者向け交流スペース、「やまんなか」に集合しました。
そのまんまのネーミングが為されたこの施設、営業用ではなくて日常は村民と村役場の橋渡し役になってるみたいです。
そこの向かいにある、小学校の廃校舎で今日の体験会がスタートします。
こちらはほとんどの教室を茶園がレンタル使用して、実際に銘茶の製造を行っています。廃校の良きリカバリーとして、全国の過疎地域に拡がれば良いですね。
これですよ、これこれ。
私が田舎を訪れるのは大自然だけが目的ではなく、このようなノスタルジィに満ちた空間に浸ることも大いに楽しみなんです。鉄とコンクリートに囲まれて過ごす都会の生活も嫌いでは無いのですが、それだけでは生きていけませんな。
特に私は月の半分が病院暮らし、解放されても自宅は鉄筋コンクリートのマンションですから、尚更田舎に行きたくなります。かと言って、昔のように山の上に永住しようかとの気にはなれません。
夫婦の通院、買い物、役所関係の手続きなどなど、都会の至便さは思いっきり享受しとります。
つまり今の生活が私たちにとってはベストなんでしょう。
しかし、今回はD4というプロ機とニコンの上等なレンズなんですが、そこは24〜120mmの五倍ズーム、両端に歪曲がでてますな。
単体の24mm、もしくは24〜70mm程度のズームなら起きない現象です。メガネの端っこは歪むでしょ?あれは一枚のレンズだからなんですよ。
それを防ぐために、カメラのレンズは高いやつほど複数のレンズやEDなどの特殊な原料のレンズを使うのですが、ズーム倍率が大きくなると防ぎきれないのです。
けっして廃校の教室扉が歪んできているのではありません。レンズの性質です。
iPhoneのほうが歪みが少ないケースもありますが、あれは機会的に補正が入ることがあるからです。PCやスマホでの見た目はともかく、光学的にはカメラメーカーの高額なレンズの方が良いのは当たり前で、発色や解像度は当然段違いです。引き延ばせば違いが解りますね。
しかし、このような現場での撮影ではいちいちレンズを交換する時間などありませんから、明るめのズームを多用します。それが芸術や遊びの写真と、現業での写真の最大の差でしょうか。
写真好きと、写真業は違うのです。
手摘みをする茶畑に行く前に、プロの技を見せてもらいましょう。
揉捻機、との滅多に聞くこと見ることの無い機械を実際に稼働してもらいました。
今日はプライベートなのに、いつも良く行くぐるなびなどのグルメサイトの農園取材モードになって撮りまくりました。職業病ですな。
そこから軽バンで送迎してもらい、500mほど離れた茶畑へ。
いよいよ手摘みですが、中窪製茶園の若き5代目当主、中窪良太郎さんより軽くレクチャーを受けます。
茶葉は上へ上へと枝分かれしながら伸びてゆくのですが、美味しいお茶となってくれるのは、一番上の新芽とそれを包む二枚くらいだそうです。
その三枚の直下の茎を軽く捻るだけでポロッと採るのが秘訣で、爪で千切ったりすると傷が深く付いて苦味が出るそうな。
茶に限らず、植物の生命力は素晴らしく、切られても切られても新しい芽が出てくる。見習おう。
さあ、灼熱のもと始めましょう。
なんでこんな一番暑い時に体験会をするんやろ?と疑問でしたが、今が紅茶摘み取りの旬らしい。知らぬことばかりです。
今日はいちばん味が良さそうな畑で体験を、と有名な「べにふうき」の茶葉を摘ませてもらえます。
参加者は20名ほどでしたが、広い畑に散らばりますので、摘み放題。
私も妻も、サビキ釣りか潮干狩りのように黙々と作業に邁進します。まるで漁か仕事感に溢れてきますが、押し付けられているのでは無いので、心地良くどんどん摘むことができます。
このザルに摘んだ量で、約150グラムくらい。
これが熟成するに従い、どんどん小さくなります。他の人の倍くらい摘んだので、えらい早いですね、と褒められたのかどうか微妙なやり取りを体験。
「やるなら根こそぎ」が座右の銘ですので。
手摘みを終えたところで、再び廃校に戻り、あとの工程を見学します。
これは蒸し器で思いっきり薫蒸している作業。まんまサウナの室内で、茶葉の裏表をひっくり返すために何度も箱を出す必要があります。
この一連の見学が、自宅での紅茶作りにとても役立ちました。
このような儲け度外視の、系統立てた体験会は大好きです。モノには順序があり、先を急ぐ性格の人には向いていない作業ではあります。職人向けですな。
暑いので、しばらく校舎内を徘徊しましょう。
鹿の骨や古農具が展示してあります。欲しい!
これは、薫蒸が終わり、乾燥工程。
大量生産ですから機械的に熱を当てるのかと思いましたが、ただ自然乾燥させるだけでも美味い茶にはならないらしい。奥が深いですな。
このように、実際に触って乾燥具合を覚えます。
昼食には、施設「やまんなか」にて手作りの地野菜カレーとサラダを振舞ってくれました。
トマトベースで仕上げたイタリアン風カレーで妻には大好評でしたが、おもいっきりカレーの口になっていた私には、辛さがまったくないのでイマイチ。健康志向なんでしょう。
廃校前には、木津川から採ってきたのであろう流木がオブジェになっていました。
欲しい!
けどあきませんよ、持って帰ったら。
やまんなかの二階にて、製茶園の四季動画を鑑賞。
私が質問攻めで、霧が深いのですか?傾斜があるのは日当たりが良いからですか?との素人な問いに、ていねいにその通りです、と答えてくれました。
さあ、お楽しみの試飲会です。
いわゆる利き酒ならぬ、利き紅茶ですな。この5種類を、中窪製茶園では力を入れて製造しているらしく、コンテスト入賞作ばかりです。
微妙に味が違う程度は判りますが、後からどれだと問われても、私の紅茶舌では不可能です。ビールなら1発で当てられますがww
家でもこんな風に仕上がれば良いのですが。。。
感想を述べさせられました。
それぞれ味の違いを詳細に書き分ければ良いのでしょうが、紅茶ライターではないので無理。
お茶受けに、道の駅で販売している抹茶とほうじ茶の「むらちゃパウンドケーキ」を出してくれました。
およそ5時間の見学/体験で、昼食と試飲、このケーキが付いて一人2500円の参加費です。製茶園も協賛しているのでしょうが、村役場の主催ならではの低価格ですね。
学校前の花壇です。
廃校ではありますが、村人が大切にしている交流拠点なのが判ります。
さあ、30分ほど押して、16時前に解散しました。私が質問しすぎたからかな。みなさん、すんまへん。興味津々なもんで。
証書はありませんが、和紅茶手作り学校を無事に卒業した我々は、あまりの暑さに道の駅に涼みに帰りました。
ここに、先ほど出してもらったパウンドケーキがあります。
なんとも濃厚な味で、コスト高いやろなあ、とつい商売人目線で見てしまいます。
めっ茶、美味しいですから、ぜひお土産にどうぞ。
涼みついでに、アイスデザートなど。
妻はほんのり緑茶の薫り優しき、ほね茶ジェラートを。加賀では棒茶と呼ばれる、茎を使用した茶を仕込んであります。
私はガッツリ抹茶の、濃厚抹茶かき氷。
夏はどこの観光地でもよくある宇治金時ですが、ここは茶処京都でもいちばんの出荷量を誇る、南山城村です。
上にちょびっと抹茶もどきをかけるなどのみみっちいことはもちろんせず、おもいっっきり下までじゅくじゅくにかけてあります。
最後まで抹茶を凍らせて飲んでる気分。
で、観光地にあるのは専門店以外では三流品の味をごまかすための砂糖入りで、その甘さが最後は嫌になるものですが、これは本当に抹茶の味しかしません。ですので、こめかみキーンに臆することなく、ぐいぐい食べ進んでしまいます。
とても美味しゅうございました。450円なり。
ただあまりの旨さに興奮するのか、そこらの床にぶちまける人続出。すでに熱中症では?気ぃつけなはれや、じいさんばあさん。
下へ続く
さあ、二日経過したので製茶しましょう
自宅に持ち帰ったべにふうきの原茶葉を、新聞紙に並べて放置します。
それを専門用語では、自然萎調(いちょう)と言います。二晩、放置しました。最初に移した現地の量より、かなり減っています。標準では、7割程度に減るのが理想とか。まあまあかな。
茶色が混じっているのは、妻がうっかり直射光を当ててしまった所為で、気づいた私が霧吹きで水分を足して新聞紙でくるみ、残りはセーフでした。基本は陰干しですが、私の指導不足です。すまん。
頃合いを見て、手もみ開始。
両手のひらで、グリグリひねひねします。この過程で茶葉に傷を付け、二酸化醗酵させます。
ローラー加減で、美味い茶ができるのですが、ポイントは茶葉同士をこすり合わせる感じ。揉む人の手の菌により味が変わるそうなので、手を洗わずに開始しました。
少しづつ、ていねいに作業します。捻りも加えて、気分は熟練職人。
途中で、雑味のもとになる茎を剪定。
細かい作業の連続ですが、私は苦になりません。
揉み終わりました。
これから乾燥作業がありますので、まだ製品のようなチリチリではありません。量を比較する意味で、ヘアブラシを置いてみました。
ここからが少しイラっとくる作業で、電子レンジでチンした濡れタオルを載せて蒸らします。
で、タオルが冷えたら茶葉をひっくり返して、さらに蒸しタオルを。これを10回位したでしょうか。根気あるわ〜〜。
お仕事感、全開!
もう蒸しての醗酵もいいかな、ってとこで仕上げの乾燥です。
当初は、より業者に近づけるべく、鉄鍋で煎ることを想定していましたが、エアコンなしの昼間の室内ではもう限界近し。
体調を崩して入院化学療法へは突入したくなかったので、手抜きのチンにしました。
もっとも、学校でのやり方マニュアルには、こうするように書いてありますが。どうも凝り性だと前へ進まない。
さあさあ、500Wをオートにしてレンジし、4回目で完成。
工業製品よりかなりふっくらしていますので、本当に紅い茶が出るか心配。緑茶やウーロン茶になったらどうしよ?と笑いあいました。
原料の葉っぱはいっしょですからね。
妻がマニアに近い紅茶好きなので今回参加したのですが、専用の茶器で淹れてくれました。
私のノンアルコール嗜好品の順位は、
⒈緑茶
⒉紅茶
だいぶとんでコーヒー、なんです。
しかしこの紅茶は良い色が出てます。期待たっぷり。
最後の一滴まで絞り出すのが紅茶の作法らしいです。
白のカップに影響されて、iPhoneのカメラでは紅茶の色が黒くなったり明るくなったりしますね。
おお、できました。
先ほどの理由から、これは色調をいじって原色にできるだけ忠実に処理してあります。とても鮮やかなルビー。
では、いただきましょう。
ツーンと鼻にくることもなく、舌をシビレさせるほどの酸味もありません。
大成功ではないでしょうか。
試飲したべにふうきの、私が評価したまろやかとの文言がぴったりくる、上品な紅茶です。自画自賛な文章ですが、それは私の不徳の致すところ。普段自慢ばかりしているから、どうせ自己満足やろ、と思われるでしょうが、これはこの茶葉が特上の原料だからです。
そらそうですわな。
オートメーション化がどんどん進み、宇治市や宇治田原町では平坦な土地に茶畑を作って機械で刈り取ることが主になってきている中、この製茶園では斜面にこだわって製造しているそうです。
それを、いちばん良いところだけを手摘みして暇にあかせて揉み込んだり乾燥させたのですから、不味いわけがない。
これは暑い中、参加して大正解でした。
以上、お茶どころ南京都からのレポートを終わります。
2019.8.9記
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